イスラーム入門シリーズ
聖預言者ムハンマド


十七、ムハンマド最後の巡礼



 預言者ムハンマド(かれの上に平安あれ)は、イスラーム暦十年に最後の巡礼を行いました。かれがイスラームの布教を始めてからわずか二十四年しかたっていなかったのですが、預言者のこの最後の巡礼に従ってメッカに入った信者は実に二万四千人の多数におよんでいたのです。



 これまでのどの預言者もこれほどの奇跡的大成功を収めたものは一人もありませんでした。



 わずか十一年前にはメッカよりのがれ、その首に賞金をかけられていた一人の男が、今や全アラビアの指導者となったのです。



 この巡礼の時にかれが人々に与えた「最後の垂訓」は、これまでのかれの布教の総仕上げでもありました。かれは神の唯一性、アッラーの教えの尊厳、来るべき最後の審判の日、女性への尊敬の気持ちおよび生命と財産の重要性を強調して次のように述べたのです。



 「イスラームの信者は、すべてお互いに同胞であることを知れ。おまえたちは、みな一つの同胞として結ばれている。わたしはおまえたちと共にある。おまえたちが、アッラーの啓典クルアーンと、アッラーの使徒の言行にしたがえば、決して道を誤ることはないであろう。」



 この時かれは、アッラーからの最後と思われる啓示を受けたのです。



 「われは今日ここになんじらのために、宗教を完成し、これによっておまえたちに対するわが恵みを完全にした。われはおまえたちの宗教としてイスラームを定めた。」(クルアーン第五章 第四節)








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