イスラーム入門シリーズ
聖預言者ムハンマド


十八、預言者の死



 預言者(かれの上に平安あれ)はついに病いに倒れ、一時快方に向いましたが、次第に病状は悪化し、かれの力も急速に弱まってきました。



 イスラーム暦三月十二日月曜日の朝(西暦六三二年六月八日)、ささやくような祈りの言葉と共に最後の預言者ムハンマド(かれの上に平安あれ)の魂は「栄光ある天上のアッラーのみもと」へ召されたのです。



 『まことにわたしたちはアッラーのもの、アッラーにわたしたちは帰るのだ』(クルアーン第二章 第一五六節)



 マディーナの人々は深い悲しみに包まれ、とくに預言者(かれの上に平安あれ)の教友の一人であったウマルは、悲しみのあまり預言者の死を信じようともしませんでした。かれがモスクへ入ると、たまたま多くの人々が礼拝をささげながら預言者の死について語り合っていました。その時ウマルは「預言者がなくなられたなどという者は、だれでもこの俺が殺してやる。」とどなりつけたのです。



 ウマルは預言者に最も身近かな存在でありまた教友の中でも重要な人物だったので、人々は恐れおののきただオロオロするばかりでした。人々の間には混乱が生じたのですが、教友の一人アブー・バクルが、「もしおまえたちが、ムハンマドを礼拝の対象とするならば、かれはほんとうに死んでしまったのだ。しかし、おまえたちがアッラーを信仰するならば、預言者はいまでも生きておられ、決して死なれることはない」といって、人々を真のイスラームの道に引き戻したのです。








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