五、ザカートを受ける人


ザカートを受けられる人については、クルアーンの第9章、悔悟、第60節で次のように述べられています。



「施し〔サダカ〕は、貧者、困窮者、これ(施しの事務)を管理する者、および心が(真理に)傾いてきた者のため、また身代金や負債の救済のため、またアッラーの道のため (に率先して努力する者)、また旅人のためのものである。これはアッラーの決定である。アッラーは全知にして英明であられる。」



ザカートで救済される人びとのカテゴリーが定められたのは、実に千四百年以前のこ とであることを充分留意しなくてはなりません。これらの対象者は、現代においても全く同じように適用されているのです。


(1)貧者:働けない者、自分と家族を支えるだけの充分な財産を持たない者。アッ ラーの道を求めて努力しているのに、生計の道を得られない者で、その様な状態にいながら、なお自分から進んで物乞いをしない人たちは、特に優先されるべきでしょう。


(2)羅災者:災害のために財産を失ってしまった者は、生計を得る手段としてこの ザカートの基金で救済しなくてはなりません。


(3)ザカートを集めて管理する者:この道にたずさわる人の給与はこの基金から支 払われます。ある権威者の所見によるとこの該当事項は、イスラーム国家の国税庁または公共財団の職員に入れるべきであるとしています。


(4)イスラームへの改宗者:イスラームに改宗したために資産を失った者は、当然 救済され、正常な生活に立ち直るように配慮されなくてはなりません。


(5)自由を束縛されている者:それには、ムスリムの人質及び戦争捕虜を釈放する 身代金の支払いが含まれます。


(6)責務者合法的な必要経費がかさんで生じた債務の返済が出来ずに苦しんでいる 者。しかし大げさな結婚や、その他財力や虚飾を人に誇示しようとする目的の演目によって出来た債務は、このザカートの基金の救済を求めることは出来ません。


(7)旅行者イスラームの布教、学間の修得、商売などの正当な理由で外国にあって 困っている者は、この部類に入ってザカートによる救済を受けられます。ザカートの金は、この種の救済に従小している福祉団体に対しても給付されます。


(8)アッラーの道に奉仕する者この項目はもっぱらアッラーへの道のために努め励 む人々や、一般的救済をも包括して大体次のように適用されます。

A、イスラームの布教活動に従事する者。

B、学生・学者および探究者

C、社会のために有益な組織を作り、または組織の改善に従事する者。例えば、病院 、孤児院一教育研究所、図書館、マスジド(モスク)、イスラーム奉仕団又は知識の普及に役立つような団体とその職員を指します。


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