イスラームと社会的責任
T・B・イルビング
三、基本的な目的
イスラーム教徒の、人生における基本的な目的は、「タウヒード」すなわち「唯一の 神」を信仰することにあり、キリスト教の三位一体説や、その他の宗教の神の二元性
、あるいは偶像崇拝主義に従うものではない。イスラームに帰依する者は、神の絶対 的な力を信じて働く。キリスト教徒ではあったが、英国のアーサー王も、その死に直
面して円卓の騎士たちに次のように警告している。
「人は、その頭の中で盲目の生活をしている羊や山羊より優れているであろうか。も し心に神を知りながら、自分たちや友人のために手を上げて神に祈らないなら」聖コ
ラーンに説かれているように、神は「絶対なるもの(アル・ガニー)」であり、神へ の奉仕と畏敬は、われわれ人間が尊び敬うものへの「価値づけ」である。われわれイ
スラーム教徒は神のみ前にひざまづき、一日少なくとも五回は神に接する。そして神 を知るのである。
今日、われわれの「新世界」はこのような考え方に敵対する破壊的な魔の手を押しの け、イスラームの普遍的神託を世に拡めるために努力している。もしわれわれすべて
の者が、耳をすまして傾聴するならば、中東の倫理や価値観に対する、西欧の評価の あやまりを是正することができる。そのことは特にイスラームそのものが、いまや北
アメリカ、英国、およびヨーロッパ大陸の諸都市へ進出している事実からも裏づけら れよう。
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