第五章 尊崇と礼拝
1、イバーダード(尊崇)の精神

 イバーダードは元来アラビア語で語原はアバダ即ち奴隷、下僕を意味し転じて「従願」となる。神はあなたの主でありあなたは神の下僕であるから主の思召に汲々としてつかえること即ちイバーダートである。此の語のイスラーム的概念は非常に広い。若しあなたがひわい、錯誤、悪意、罵詈をロにせず、常に真実を話し良いことのみを語り、神の命ぜられたところのみを行うことはイバーダートである。
 たとえ外見はいかに世俗的であっても、若しあなたが商売や取引に於て神の掟に従い又両親、親族、朋友、その他接する一切の人々との応待に際してもこの心掛を忘れないならあなたの行動はすぺてイバーダードである。若しあなたが貧者や困窮者を助け飢える人に食物を恵み病める人や悩める人を慰めるなら、そしてそれが自分の利得のためでなく神の喜びのためにのみ行われるのなら正にイバーダードである。自分の生活費及家族を養うために働く活動も誠実公正に神の法則に沿って行う限りイバーダートであるつまり人の活動否人生行動の総てがイバーダートであるとも言える。但しそれが神を畏敬し神の則に従い神をよろこばそうとの心掛でなされたものならば、このようにあなたが人生の活動分野に於いて常に神を想い善を行い悪を避けるのは即ちイスラームの義務を果していることである。
 これがイバーダードの真の意味であって要約すれば『神を喜ばす日常行動をとる』に他ならない、この目的を達するために、形式的なイバーダート(尊崇)が実践方法として決定されている。この訓練に習熟すればする程理念と実行の調和がとれ人格が練磨される。イバーダートはイスラームの礎石の上に立つ柱である。

 

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