4/6/2010
マスジド大塚金曜日礼拝ホトバ 要約 (2010年6月4日)
――ムスリムにとって大切な4つの事柄 その1――

 あらゆる称賛と感謝は、萬養育の主アッラーのもの。アッラーの最善の創造物、誠実で信任篤いムハムマドに祝福と平安がもたらされますように。

信者たちよ、今日の金曜日のホトバでは大層大切な課題を取り上げたい。その課題に関し、預言者さま(祝福と平安を)は、次のように述べておられる。「4つの事柄を自分のものとするならば、そのどれをも逃してはならない。その4つとは、信用を保つこと、真実を語ること、良い品格、清純(清いものを摂取すること)である。」 預言者さま(祝福と平安を)は、これら4つの事柄を自分のものとするなら、その他のものを持たなくても悩むに及ばないと述べておられる。それらを自分のものとしていれば人生にとって十分であり、日本にいても世界のどこにいても当惑をおぼえることはない。それら4つのそれぞれについて、個別に語りたいと思う。
1. 最初の事柄:信用を保つこと
どんな社会にあっても、ムスリムは、信用できる人物であることを肝に銘じるべきである。人々は、信頼に足るかどうかの一点で、他人を見るものである。このことについては、預言者として命じられる以前の預言者さま(祝福と平安を)の、社会的位置づけにおいては如何なものであったろうか。人々は、預言者さま(祝福と平安を)のことを、誠実な者、信用できる者等の別名で呼んでいたのである。人々の会話の中では、「正直者かやって来た」「信頼できる者が出掛けた」等と語られた。

信者たちよ、信用を保つことは、良い社会にとっては必須のものである。信用を保つことは、高度な良い社会を打ち立てる重要な要素である。ハディースに「信用は、人間の心の中の表れである。」とあるように、イスラームは、その事をとても強調している。信用が薄れるときには、堕落が社会にはびこり始める。それでも、人々が売り買いし、商売を行うが、だれも信用を果たさない。その状態は、ムスリムが今日自分たち自身のレベルとして、自分たちの社会にもたらしているイスラーム国の病状である。

信用に関し、日本とイスラーム国とをテレビ番組で比較を行っているものがあった。この番組では、先ずは日本で、お金の入った財布を道端に落としておき、遠くからのカメラによって捕らえるものであった。歩いている人はいるが、その財布に注意を払う者は殆どいない。やがて一人の人に拾い上げられ、最寄りの交番に届けられたのである。同様の事をイスラーム国で試みた。残念ながら、最初に通りかかった者が財布に気付き、拾い上げ、開けて中に金があることを確かめ、それを自分のポケットに仕舞い込んだのである。預言者さま(祝福と平安を)が我々に伝えられた信用はどこへ行ってしまったのか。預言者さま(祝福と平安を)は、次のように述べておられるのである。「もしも落とし物を見付け拾ったならば、公に知らせ1年を待ちなさい。それで誰も受け取りに来ないならば自分でそれを使うことが出来ます。しかし、何時であれ持ち主が受け取りに来たなら、それを返しなさい。」 勿論、ムスリムム社会には信用を保つ人々もいるが、その性質を全てのムスリムが身につける様にと望まれているのである。このことは、信用に関する一面に過ぎない。信用は人生の全行程に亘るものでなければならない。仕事は信用に支えられ、身体は信用に支えられ、そして、ダーワは信用を基に行われるものである。
アッラーは、クルアーン・婦人章において次のように述べておられる。
「誠、アッラーは、お前たちが信託されたものを元の所有者に返還する事を命じられる。…」(4章 58節)

信用の一つの形は、或る人が顧客の利益を預かりながら、その信頼を損なってしまう事にもある。即ち、問屋が或る値段で売ることを求められながら、もっと安い値段で他へ売るということである。問屋は顧客の利益を出来るだけ大きくしなければならないものであり、これは信用に反することである。同様に、雇用者は他にしなければならない特別の理由が無い限りは、支払われている時間をいっぱいに働かなければならない。また、孤児の後見人は、孤児の財産を使い込んだり、横取りしたりしないようにしなければならない。預言者さま(祝福と平安を)は、次のように述べておられるのである。「孤児の財産を食い物にする者は誰でも、口から火を吹き出しながら、墓から出てくるだろう。」「信用を保持しない者は、信仰を持たない者である。」 即ち、不信仰者の徴候の一つは、信用をおかれると違えることである。
2. 第2の事柄:真実を語ること
このことは、信仰篤い者に特に備わった事柄である。
それで、アッラーは、これについて何度もクルアーンで取り上げられ、クルアーン・悔悟章及びムハンマド章において次のように述べておられる。
「お前たち信仰するものたちよ、アッラーを畏れ、誠実な者と一緒にいなさい。」(9章 119節)
「…アッラーに忠誠であることが、彼らの為に良い。」(47章 21節)
預言者さま(祝福と平安を)は、次の様に述べておられる。「真実は、良い行いを導き、良い行いは、楽園へ通じている。或る者は、アッラーによって「正直者」と記されるまで真実を語る。その一方、嘘は、悪い行いを導き、悪い行いは火獄へ通じている。或る者は、アッラーによって「嘘つき」と記されるまで嘘を言い続ける。」 真実を語るとは、単に言葉だけの事ではない。その人が主に対して誠実であるかを意味している。アッラーに懺悔しながら目から涙を溢れさせ、アッラーだけを畏れる者を知っているであろう。その者こそアッラーを前にし、人を前にして心からへりくだる者である。その者こそ、欲望という悪魔や、人間やジンを巣食う悪魔からの克服をまっとうに意図する者である。真実とは、人が正しい意図を持つことである。もし、他人に助言するなら、誰でも正直で無ければならない。自分の配下にある大変な仕事をする者には正直でありなさい。あなた方の助言は、助言を求める者に関心と利益をもたらすことが保証された助言でありなさい。自分が意図することについては、正当なものであるかどうかあらゆる角度から確認しなさい。助言とは、相手に敬意を払い相手の向上を意図して行わなければならず、相手を中傷したり、相手の弱点を見付け出すものであってはならない。賤しくも自分の地位を高めるとかその他の意図が介在して行われるものであってはならないのである。

常に、自分の正義と自分自身を大事にしなさい。正直者たちと一緒にいなさい。正直者たちは、良いときには光彩を放つ者であり、困難なときには支えとなる者である。今日は4つの内の二つについて語ったが、アッラーが御望みならば、残り二つについては来週語りたいと思う。

アッラーよ、私たちが正しい道を歩む事が出来るように御加護下さい。私たちの信仰心を強くして下さい。
アッラーよ、日本中に、世界中にイスラームを広められるように御力添え下さい。
アッラーよ、イスラームとムスリムたちの為に奉仕出来るように御加護と力を御与え下さい。
アッラーよ、病気の者たちを御治し下さい。仕事の無い者たちに清い仕事を御与え下さい。
アッラーよ、仕事に成功を、そして安心と安全を御与え下さい。アミィーン。
 
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