あらゆる称賛は、万有の主アッラーのもの。預言者ムハムマドに祝福と平安がありますように。
信者たちよ、本日のホトバは、アッラーに思いを寄せる事との大切さと定命についてである。
アブー・アッバース・ビン・アブドッラー師により、次のように伝えられている。「或る日、一緒に乗馬しておられた預言者さま(祝福と平安を)は言われた。『若者よ、一言二言教えてあげよう。アッラーに思いを寄せなさい。そうすればアッラーはあなたを守って下されよう。アッラーに思いを寄せなさい。そうすればあなたは眼前にアッラーを見いだすだろう。もし、祈願するなら、そのときはアッラーだけに祈願しなさい。もし、助けを求めるなら、そのときにはアッラーだけに助けを求めなさい。何かの事であなたの役に立とうと人々が集まっても、アッラーがあなたの為に計らって下さっていないなら、人々があなたの役に立つことはないと言うことを知っておきなさい。何かの事であなたに害を与えようとして人々が集まっても、アッラーがあなたに対して計らわれないなら、人々があなたを害することはないと言うことをも。ペンは既に持ち上げられ、ページは既に乾いてしまっている。』」
この話を、アッ・タルミジ師は、確かで有意義なハディースとしてとり上げている。「アッラーに思いを寄せなさい。そうすればあなたは眼前にアッラーを見いだすだろう。順調な時に、幸せな時にアッラーのお陰であることを感知しなさい。そうすれば、アッラーは、あなたが困った時にあなたに思いを寄せて下されるだろう。あなたが側を通り過ごした事柄、ないしあなたが仕損なった事柄は、あなたに降りかかるはずのない事であり、また、あなたに降りかからない事柄は、あなたが側を通り過ごす事も無いと言うことを知っておきなさい。それと、勝利は忍耐を伴い、安心は苦悩を伴い、難儀は安楽を伴ってやって来る事を知っておきなさい。」
このハディースにおいて、「アッラーに思いを寄せなさい。そうすればあなたは眼前にアッラーを見いだすだろう。」の意味するところは、アッラーの故にアッラーの命令に従い行いを為し、自分をアッラーに逆らったり、不従順であると見られないようにしなさいと言うことである。そうすれば、あなたが困難な時にアッラーがあなたと共にあられるのを見いだすだろうと言うことである。「祈願するなら、そのときはアッラーだけに祈願しなさい。もし、助けを求めるなら、そのときにはアッラーだけに助けを求めなさい。」と言う言葉は、我々を御加護なされる御方を信用し拠り所とするようにと説いているものである。我々はアッラー以外の何ものをも神と崇めるべきではなく、アッラー以外のものに何かを併置したり、あらゆる事柄、仮に小さな事柄であってもそれを頼りとするべきものではないと言うことである。
アッラーは、クルアーン・離婚章において次のように述べておられる。
「…アッラーを信頼する者には、その御方は万全であられる。…」(65章 3節)
人が、自分の好みや、自分の思いに従い、自分の望みによって、アッラーよりも他のものを頼りにする事の意味合いと言うのは、それに見合ったものとして、彼に対して益する事もなく害も与えることのない自分の主から、彼自身遠いものとなっていると言うことである。そして、アッラー以外のものを恐れる場合も同様のことである。そして、預言者さま(祝福と平安を)はその事に関して、「何かの事であなたの役に立とう人々が集まっても、アッラーがあなたの為に計らって下さっていないなら、人々があなたの役に立つことはないと言うことを知っておきなさい。」と強調なされ、害を与える事についても同様に強調なされている。このことは、信仰と定命に関わる本質であり、良い場合にも悪い場合にも信仰が義務的なものであると言うことである。一度信者がこの事を確信するなら、アッラー以外のものに祈願し、助けを求めることに価値を見いださないものである。
同様のこととして、預言者イブラーヒーム(平安を)が火に投げ込まれたときの天使ジブリール(平安を)の質問に対する答えがこのことに相当するのである。「何かを望みますか。」「あなたから得る望みはありません。アッラーから得るもの、それははっきりしています。」 そうして、イブラーヒム(平安を)は述べられ、「ペンは既に持ち上げられ、ページは既に乾いてしまっている。」と、既に決まっていると言うことを強調し、そして、廃棄や変更という方法によって否定するようなものではないことを強調しているのである。更に、次のように述べられた。「勝利は忍耐を伴い、安心は苦悩を伴い、難儀は安楽を伴ってやって来る事を知っておきなさい。」 それは、現世にある者は、試練、災難、特に敬虔さといったものを背負い存在していると銘記しているのである。 アッラーは、クルアーン・雌牛章において次のように述べておられる。
「われは、恐れや飢えと共に、財産や生命(労苦の結果である)果実の損失で、きっとお前たちを試みる。だが、堪え忍ぶ者には吉報を与えなさい。」「災難に遭うと、『本当に私たちはアッラーのもの。その御方の御許に我々はかえります。』と言う者。」「この様な者の上にこそ、主からの祝福と御恵みは下り、また、彼らは正しく導かれる。」(2章 155?157節)
そして、アッラーは更に、クルアーン・集団章において次のように述べておられる。
「…よく堪え忍ぶ者は、誠、限りない報酬を受ける。」(39章 10節)
本日のホトバの纏めは次の通りである。
・誰でもアッラーの正道について留意するならば、アッラーはその者に注意を払って下される。
・誰でもアッラーの正道について留意するならば、アッラーはその者を助けて下される。
・誰でもアッラーだけに祈願しなければならないし、アッラーだけに助けを求めなければならない。
・アッラーからの承認が無いなら、事の大小強弱を問わず、我々は、何かからないし誰かから害されたり益をもたらされたりする事は出来ない。
・アッラーが我々の運命について承認された事が、確かに起こることである。
・誰でも安心でいる時にアッラーの正道について思い、留意するべきであり、そうすればアッラーは、その者が困ったときに御世話して下される。
・勝利は忍耐を伴ってやって来るものである。
・安心は苦悩を伴ってやって来るものである。
・難儀は安楽を伴ってやって来るものである。
アッラーよ、私たちを、あなたさまを何時でも顧みる善い信者の一人となるように御導き下さい。
アッラーよ、私たちが正しい道を歩む事が出来るように御加護下さい。私たちの信仰心を強くして下さい。
アッラーよ、日本中に、世界中にイスラームを広められるように御力添え下さい。
アッラーよ、イスラームとムスリムたちの為に奉仕出来るように力と御加護を御与え下さい。
アッラーよ、病気の者たちを御治し下さい。仕事の無い者たちに清い仕事を御与え下さい。
アッラーよ、仕事に成功を、そして安心と安全を御与え下さい。アミィーン。