イスラムにおける結婚(1)

 アッラーは男と女を互いの伴侶として作られたので、私たちはアッラーの教えと彼の使徒の指示に従って、子供を産み、平安で平和に生活することができます。至高なるアッラーはクルアーンの中でこうおっしやっています。 

『またかれがあなたがた自身から、あなたがたのために配偶を創られたのは、かれの印の一つである。あなたがたは彼女らによって安らぎを得るよう(取り計らわれ)、あなたがたの間に愛と情けの念を植え付けられる。』(ローマ章21節)
『またアッラーはあなたがたのたの間から配偶者を定め、配偶のために子女や孫を与えられる。また、良いものを与えられる。』(蜜蜂章72節)

 聖クルアーンのこれらの節は、独身や禁欲を大きな功徳とし救済の手段としているキリスト教や仏教、ジャイナ教など他の宗教と違い、イスラームが結婚を最も徳の高い、是認された制度の一つとしていることを、明白に示しています。
 アッラーの使徒(SAW)はおっしやいました。『イスラームには、禁欲主義はありません』更に彼は,こう御命じになられました。
 『若者よ、緒婚できる者は誰でも、結婚しなさい。そのことは、彼の視線を下げ、慎みを守ることに役立ちます』(アル・プハーリー)
 慎み深さを、預言者は大きな美徳と見なされ、こうおっしやいました。
 『慎み深さは信仰の一部です』(アル・ブハーリー)
 結婚の制度の重要性について、預言者の次のハディースにそのもっとも大きな重要性があります。
 『結婚はわたしのスンナです。誰でもそれに近付かない者は、私の仲間ではありません』
 こうしたクルアーンの指示や、預言者のアドバイスを心にとめて、シヤリーアにおける結婚の制度について検証しましよう。

 「ザワージ」という言葉はクルアーンの中で、夫婦や配偶者を指し示すために使われています。しかし、俗に、それは結婚を表します。家族はイスラーム社会の核であり、結婚は家族を成立させる唯一の方法であるので、預言者は、彼のサハーバたちに結婚をするよう強調されました。
 シャリーアは、夫婦が愛情と安全と平穏の中でともに生活できるように、家族の役割をきちんとするための法を規定しています。
イスラームにおいて結婚は、アッラーへのイバーダ(崇拝行為)と、ムアマラ(人間同士の取り扱い)の二つの側面をもっています。イバーダの側面から見れば、結婚はアッラーの御満足を願う行為です。なぜなら、夫と妻がお互いに愛しあい、お互いに人生における努力を続けるために助け合い、そして、彼らの子供がアッラーの僕(しもぺ)となるよう養育し、保護することは、アッラーの命令に従うことだからです。
 ムアマラの側面において、結婚は、性行為や子供をもうけることの基本的な生物学的本能に対する、合法的な答えになります。シャリーアは、この答えを、実際の人間の制度に移し変えるために、夫婦だけでなく、子供に関しても合法的に行なえる権利や義務の枠組全体によって補強された、細かい法を規定しています。こうした側面は,預言者の言行において美しく説明されています。アナスの伝えるところによれぱ、神の使徒はこうおっしやいました。
 『もし、彼が結婚したら、彼は信仰の半分を成し遂げたことになる。残りの半分について、彼にアッラーを畏れさせなさい』
 預言者は、ムスリムにとって結婚は、彼の信仰の半分に値するものと考えられました。なぜなら.それは、彼を、中傷や不和や殺人や財産の喪失や家庭の崩壊のような他の多くの悪を引き起こすもとになる、乱交や姦通や私通やホモセクシヤルなどから、守る盾となるからです。
 預言者によれば、信仰の残りの半分は、タクワによって守られるのです。

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