悔悟章(アッ・タウバ)
マディーナ啓示129節


1.アッラーとその使徒から、あなたがたが盟約を結んだ多神教徒に対し解約が、(宣言)された。
2.それにしても(多神教徒は)、4ヶ月の間は(任意に)国中を往来させなさい。あなたがたはアッラー(の計画)を、頓挫させられない、またアッラーは、不信者に屈辱を与えられることを知れ。
3.(これは)アッラーとその使徒から、偉大な巡礼の日にあたり、人びとへの(布告された)宣言。「本当にアッラーは、多神教徒と(の盟約)を解約された、その使徒にしても同じこと。それであなたがたがもし悔悟するならば、あなたがたのため最もよい。もし背き去るならば、アッラー(の計画)をあなたがたは頓挫させられないことを知れ。」信仰を拒否する者たちには、痛苦の懲罰を告げてやれ。
4.(しかし)あなたがたの盟約した多神教徒で、破約したことなく、またその後、あなたがたに敵対する者を助けなかった者は別である。(これらの者に対しては)期間が満了するまで、かれらとの盟約を果しなさい。本当にアッラーは、主を畏れる者を愛でられる。
5.聖月が過ぎたならば、多神教徒を見付け次第殺し、またはこれを捕虜にし、拘禁し、また凡ての計略(を準備して)これを待ち伏せよ。だがかれらが悔悟して、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をするならば、かれらのために道を開け。本当にアッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。
6.もし多神教徒の中に、あなたに保護を求める者があれば保護し、アッラーの御言葉を聞かせ、その後かれを安全な所に送れ。これはかれらが、知識のない民のためである。
7.多神教徒が、どうしてアッラーや使徒の許で盟約が出来ようか。只あなたがたが、聖なるマスジドで盟約した者たちは別である。それでかれらがあなたがたに誠実である間は、あなたがたもかれらに誠実であれ。本当にアッラーは主を畏れる者を愛でられる。
8.どうして(盟約)出来よう。かれらはあなたがたに対し優位であると見れば、血縁であろうと盟約があろうとあなたがたを顧みない。かれらはロ先ではあなたがたを喜ばせているが、心では拒否する。かれらの多くは主の掟に背く者たちである。
9.かれらは僅かな代償でアッラーの印を売り、(人びとを)かれの道から妨げた。本当にかれらの行ったことは、大悪である。
10.かれらは信者に対する場合、血縁も誓約も顧みない。かれらこそ法を越えた者である。
11.だがもしかれらが悔悟して礼拝の務めを守り、定めの喜捨をするならば、かれらは教えの上の同胞である。われは印を理解する人びとのために詳述する。
12.だがかれらがもし誓約した後にそれを破り、あなたがたの教えを罵るならば、不信者の首長たちと戦え。本当にかれらには誓いはないのである。恐らくかれらは止めるであろう。
13.あなたがたは自分の誓いを破り、使徒を追放しようと企てた者たちと戦わないのか。かれらは最初にあなたがたを攻撃したのである。あなたがたはかれらを恐れるのか。いや、信者ならばアッラーをこそ、もっとも畏れるべきである。
14.かれらと戦え。アッラーはあなたがたの手によって、かれらを罰して屈辱を与える。かれらに対し(うち勝つよう)あなたがたを助け、信者の人びとの胸を癒される。
15.またアッラーはかれらの心中の激怒を除き、御心に適う者の悔悟を赦されるであろう。アッラーは全知にして英明であられる。
16.それともアッラーは、あなたがたの中(教えのために)奮闘努力する者たち、またアッラーと使徒、と信者たち以外に親しい友を持たない者たちを、まだ知らずに、放って置かれると思うのか。本当にアッラーはあなたがたの行うことを熟知される。
17.多神教徒たちにアッラーのマスジドを、自ら不信心を立証しているのに管理させるべきではない。これらの者の行いは虚しく、かれらは業火の中に永遠に住むであろう。
18.アッラーのマスジドは、ひたすらこれらの者(信者)によって管理されるべきである。(すなわち)アッラーと終末の日を信じ、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をなし、アッラー以外の何ものをも恐れない者だけである。これらの者は、正しく導かれる者となるであろう。
19.(だが)あなたがたは巡礼者に(水を)飲ませたり、または聖なるマスジドを管理する者と、アッラーと終末の日を信じ、アッラーの道のために奮闘努力する者とを同等にするのか。アッラーの御許では、両者は同等ではない。アッラーは不義の民を導かれない。
20.信仰する者、移住した者、またアッラーの道のために財産と生命を捧げて奮闘努力した者は、アッラーの御許においては最高の位階にあり、至上の幸福を成就する。
21.主は、親しく慈悲と満悦を与えられ、かれらのために永遠の至福の楽園の吉報を与えられる。
22.かれらは永遠にその中に住むであろう。アッラーの御許には最大の報奨がある。
23.信仰する者よ、もしあなたがたの父または兄弟が、信仰より不信心を好むならば、かれらを親しい友としてはならない。もしあなたがたの中、かれらを親しい友とする者があれば、それらは不義の徒である。
24.言ってやるがいい。「あなたがたの父、子、兄弟、あなたがたの妻、近親、あなたがたの手に入れた財産、あなたがたが不景気になることを恐れる商売、意にかなった住まいが、アッラーと使徒とかれの道のために奮闘努力するよりもあなたがたにとり好ましいならば、アッラーが命令を下されるまで待て。アッラーは掟に背いた民を導かれない。」
25.アッラーは幾多の戦役、またフナインの(合戦の)日においても、確かにあなたがたを助けられた。その時あなたがたは多勢を頼みにしたが、それは何も役立たず、大地はあのように広いのにあなたがたのためには狭くなって、あなたがたは遂に背を向けて退却した。
26.その後アッラーは、使徒と信者たちの上にかれの安らぎを下し、またあなたがたには見えなかったが、軍勢を遣わして不信心な者たちを懲罰された。このようにかれは、不信者に報いられる。
27.更にアッラーは、それらの後、御心に適う者の悔悟を赦された。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
28.あなたがた信仰する者よ、多神教徒は本当に不浄である。だからかれらのこの年以後、かれらを聖なるマスジドに近付かせてはならない。あなたがたがもし貧困を恐れても、アッラーが御好みになれば、その恩恵によって(主は)やがてあなたがたを富ませるであろう。本当にアッラーは全知にして英明であられる。
29.アッラーも、終末の日をも信じない者たちと戦え。またアッラーと使徒から、禁じられたことを守らず、啓典を受けていながら真理の教えを認めない者たちには、かれらが進んで税〔ジズヤ〕を納め、屈服するまで戦え。
30.ユダヤ人はウザイルを、アッラーの子であるといい、キリスト教徒はマスィーフを、アッラーの子であるという。これはかれらが口先で言うところで、昔の不信心な者の言葉を真似たものである。かれらにアッラーの崇りあれ。かれらは(真理から)何と迷い去ったことよ。
31.かれらは、アッラーをおいて律法学者や修道士を自分の主となし、またマルヤムの子マスィーフを(主としている)。しかしかれらは、唯一なる神に仕える以外の命令を受けてはいない。かれの外に神はないのである。かれらが配するものから離れて(高くいます)かれを讃える。
32.かれらは口先で、アッラーの御光(イスラーム)を消そうと望んでいるが、仮令不信者たちが嫌おうとも、アッラーはかれの御光を全うされる。
33.かれこそは、導きと真理の教えをもって使徒を遣し、仮令多神教徒たちが忌み嫌おうとも、凡ての宗教の上にそれを表わされる方である。
34.あなたがた信仰する者たちよ、律法学者や修道士の多くは偽って人びとの財産を貪り、(かれらを)アッラーの道から妨げている。また金や銀を蓄えて、それをアッラーの道のために施さない者もいる。かれらに痛ましい懲罰を告げてやれ。
35.その日、それら(の金銀)は地獄の火で熱せられて、かれらの額やわき腹や背に、焼印が押されるであろう。「これはあなたがたが自分の魂のために、蓄積したものである。だからあなたがたが蓄積したものを味わえ。」
36.本当にアッラーの御許で、(1年の)月数は、12ヶ月である。アッラーが天と地を創造された日(以来の)、かれの書巻のなか(の定め)である。その中4(ヶ月)が聖(月)である。それが正しい教えである。だからその聖月中にあなたがたは互いに不義をしてはならない。そして多神教徒が皆であなたがたと戦うように、(あなたがたも)皆で戦え。アッラーは、主を畏れる者と共におられることを知れ。
37.本当に(聖月を)延ばすことは、不信心を増長させ、それで不信者は誤って導かれている。ある年は(聖月を)普通の月とし、(他の年は)聖月とする。かれらはアッラーが禁じられた(聖月の)数と合せるために、アッラーが禁じられたもの(聖月)を(戦いが)合法であるとする。かれらの間違った行いは、かれらには立派に見える。アッラーは信仰を拒否する民を導かれない。
38.信仰する者たちよ、あなたがたはどうしたのか。「アッラーの道のために出征せよ。」と言われた時、地に低頭するとは。あなたがたは来世よりも、現世の生活に満足するのか。現世の生活の楽しみは、来世に比べれば微少なものに過ぎない。
39.あなたがたが奮起して出動しないならば、かれは痛ましい懲罰をもって懲しめ、他の民をあなたがたと替えられる。あなたがたは少しもかれを損うことは出来ない。本当にアッラーは凡てのことに全能であられる。
40.仮令あなたがたがかれ(使徒)を助けず、不信心の者たちが、かれを追放しても、アッラーは必ずかれを助けられる。かれは、只1人(の同僚)と、2人で洞窟にいた時、その同僚に向かって「心配してはならない。アッラーはわたしたちと共におられる。」と言ったその時アッラーかれの安らぎを、かれ(アブー・バクル)に与え、あなたがたには見えないが、(天使の)軍勢でかれを強められた。また不信者たちの言葉を最も低いものになされ、アッラーの御言葉を最も高められた。本当にアッラーは偉力ならびなく英明であられる。
41.あなたがたは奮起して、軽くあるいは重く(備えて)出動しなさい。そしてあなたがたの財産と生命を捧げて、アッラーの道のために奮闘努力しなさい。もしあなたがたが理解するならば、それがあなたがたのために最も良い。
42.もし間近かに利得があり、また征途も短いならば、かれらは必ずあなたに従ったであろう。だがかれらには、道のりが(余りに)遠いと思われた。間もなく、かれらは、アッラーにかけて誓う。「出来ることなら、あなたがたと一緒に出征したのだが。」かれらは自分の魂を滅ぼす者である。アッラーはかれらが、偽っていることを知っておられる。
43.アッラーはあなた(ムハンマド)を許した。何故あなたは、真実を述べる者が、あなたにはっきりして、嘘付きたちが分かる前に、かれら(がその家に留まること)を許したのか。
44.アッラーと終末の日とを信じる者は、自分の財産と生命を捧げて奮闘することを(免れようなどと)、あなたに求めたりはしない。アッラーは主を畏れる者を熟知される。
45.アッラーと終末の日とを信じない者だけ、あなたに(免れようと)求める。かれらは心に疑っており、それでかれらは疑いの中にさ迷っている。
46.もしかれらに出征する意志があるならば、それに対し必ず(何らかの)準備をなすべきである。だがアッラーは、かれらを出征させるのを嫌って、遅れさせられ、かれらに、「あなたがたは(戦闘力なく家に)留まる者と共に留まれ。」と仰せられた。
47.かれらは仮令あなたに従って出征しても、只足手まといになるだけである。あなたがたの間に騒動(の因)を捜し求めてあちこち走り回り、そのためあなたがたの中にはかれらに耳を傾ける者もでてこよう。だがアッラーは不義の者を熟知される。
48.かれらは、以前も不穏の行為を考えて、あなたにたいして事態を転覆させた。だがかれらの意に反して、真理が実現し、アッラーの教えが明示された。
49.かれらの中、「わたしを許して(家に留め)、試みに会わせないで下さい。」と言う者もある。聞け、かれらは既に試みの中にいるではないか。本当に地獄は、(凡ての方向から)不信者たちを取り囲んでいる。
50.もしあなたに良いことが下れば、かれらを悲しませる。また災厄があなたを襲えば、かれらは、「わたしたちはもう、以前から用心していたのだ。」と言い、喜んで背き去る。
51.言ってやるがいい。「アッラーが、わたしたちに定められる(運命の)外には、何もわたしたちにふりかからない。かれは、わたしたちの守護者であられる。信者たちはアッラーを信頼しなければならない。」
52.言ってやるがいい。「あなたがたには、光栄ある2つのことの1つの外に、(どんな運命が)期待出来ようか。だがわたしたちには、あなたがた(不信者)のために、アッラーが御自身で懲罰なされるか、またはわたしたち(ムスリム)の手による、(処罰)を期待することが出来る。それであなたがたは待ちなさい。わたしたちもあなたがたと共に待つものである。」
53.言ってやるがいい。「仮令あなたがたが、快よく施し、貢献をしても、不承不承であろうとも、決して受け入れられないであろう。本当にあなたがたは、アッラーの掟に背く者たちである。」
54.かれらの施し(貢献)が、受け入れられてもらえないのは、只かれらが、アッラーとその使徒を信じないためであり、のらくら者のように礼拝に赴くだけで、しぶしぶと施すからに外ならない。
55.だからあなたがたは、かれらの財産や子女に心を奪われてはならない。アッラーは、これらによって現世の生活の中に、かれらを懲罰しようとおぼしめし、またかれらの魂が不信心の中に離れ去ることを望まれるためである。
56.かれらは、アッラーに誓って、「本当にあなたがたの同士です。」と言う。かれらはあなたがたの同士ではない。かれらは今も(自分の真意が現われるのを)恐れる人びとである。
57.もしかれらが、避難所か洞窟、または潜り込む所を見い出せれば、必ずそれに向こう見ずに急いで行ったであろう。
58.かれらの中には、施し(の配分)のことに就いてあなたを謗る者がいる。それを与えられた者は、喜ぶが、それを与えられないならば、見なさい。直ぐに怒り出す。
59.もしかれらがアッラーと使徒から自分たちに与えられたものに満足するならば、こう言うべきであった。「アッラーは、わたしたちにとって万全であられます。アッラーと使徒は、その恵みにより(更に多くを)わたしたちに与えられるでしょう。わたしたちは(正しい道を踏むよう)アッラーに嘆願します。」
60.施し〔サダカ〕は、貧者、困窮者、これ(施しの事務)を管理する者、および心が(真理に)傾いてきた者のため、また身代金や負債の救済のため、またアッラーの道のため(に率先して努力する者)、また旅人のためのものである。これはアッラーの決定である。アッラーは全知にして英明であられる。
61.またかれらの中には、預言者を困らせて、「かれは(只の)耳です。」と言う者がある。言ってやるがいい。「かれはあなたがたのため、善いことの聞き手である、かれはアッラーを信仰し、信者たちを信頼する。またあなたがたの中の信仰する者のためには(アッラーからの)慈悲である。アッラーの使徒を悩ます者には、痛ましい懲罰がある。」
62.かれらはあなたがたを喜ばせるため、アッラーにかけて誓う。だがかれらが(真の)信者ならば、アッラーとその使徒の喜びを得るのが最も正しい。
63.かれらは知らないのか、アッラーとその使徒に反抗する者には、実に火獄が用意されており、その中に永遠に住むことを。それは大きな屈辱である。
64.背信者は、自分の心の中に抱くことを暴露する1章〔スーラ〕が下されることを警戒している。言ってやるがいい。「嘲笑しておれ。本当にアッラーは、あなたがたが恐れるものを暴き出される。」
65.もしあなたがかれらに問えば、かれらは必ずわたしたちは、無駄話をしてたわむれているだけです」と言う。言ってやるがいい。「あなたがたは、アッラーかれの印と使徒を、嘲笑していたではないか。」
66.「弁解するには及ばない。あなたがたは確かに一度信仰に入って後、不信心になった。われは、仮令あなたがたの一部を許しても、外は罪を犯していたので懲罰するであろう。」
67.男の背信者も女の背信者も、凡て同類である。かれらは邪悪を命じ、正しいことを禁じ、(アッラーの道のために費すことに)その手を閉じる。かれらはアッラーを忘れるが、かれもかれらを忘れられる。本当に背信者たちは、アッラーの掟に背く者たちである。
68.アッラーは、男の背信者と女の背信者、また不信者に、地獄の火を約束され、その中に永遠に住ませられる。それはかれらにとっては十分である。アッラーはかれらを見限り、かれらには永遠の懲罰があろう。
69.あなた以前の民と同じように(あなたがたもそうである)。かれらは、その力はあなたがたよりも強く、財産と子女でも遙かに多かった。かれらはその福分を享楽した。それであなたがた以前の者がその福分を享楽したように、あなたがたの福分を享楽する。またかれらが耽ったように、あなたがたも(無駄話に)耽っている。これらの者の行いは、現世でもまた来世でも、実を結ばない。これらの者こそ失敗者である。
70.かれらには、先人のこれらの消息が達しなかったのか。ヌーフ、アード、サムードの民、またイブラーヒームの民、マドヤンの住民、また転覆した諸都市(の民の消息が)。使徒たちはかれらに証をするためにやって来た。アッラーはかれらを損われない。だがかれらは自分自身を害した。
71.男の信者も女の信者も、互いに仲間である。かれらは正しいことをすすめ、邪悪を禁じる。また礼拝の務めを守り、定めの喜捨をなし、アッラーとその使徒に従う。これらの者に、アッラーは慈悲を与える。本当にアッラーは偉力ならびなく英明であられる。
72.アッラーは、男の信者にも女の信者にも、川が永遠に下を流れる楽園に住むことを約束された。また永遠〔アドン〕の園の中の、立派な館をも。だが最も偉大なものは、アッラーの御満悦である。それを得ることは、至上の幸福の成就である。
73.預言者よ、不信者と背信者に対し奮闘努力し、かれらに厳しく対処せよ。かれらの住まいは地獄である。何と悪い帰り所であることよ。
74.かれらはアッラーに、「(悪い事は)何も言わない。」と誓う。だがかれらは確かに不信心な話をし、1度イスラームを受け入れた後不信心になり、成就し得ないことを企む。アッラーと使徒が、その恩恵によってかれらを(戦利品で)富裕になされていることに対して復讐をしたに過ぎない。もし悔悟するならばかれらのために最も良い。もし背き去るならば、アッラーは現世でも来世でも痛ましい懲罰でかれらを罰される。かれらは地上に、保護者も援助者もないであろう。
75.かれらの中アッラーと約束を結んだ者は(言った)。「もしかれが、わたしたちに恩恵を与えれば、わたしたちは必ず施しをなし、必ず正しい者の仲間になるでしょう。」
76.だがかれが、恩恵を与えれば、かれらはそれに貪欲になって、(約束に)背き(宗教への貢献を)嫌う。
77.それでかれらがかれに会う日まで、その心の中に偽善を抱かせて懲らしめられる。それはかれらがアッラーとの約束を破り、(度々)偽りを言っていたためである。
78.かれらはアッラーが、かれらの隠し(た考え)も秘密の相談も、知っておられることを知らないのか。またアッラーが、見得ないこと凡てを熟知されている(ことを)。
79.信者たちで進んで慈善のために施しをする者を罵り、または自分の労力の外に、施すもののない者を罵って、かれらに嘲笑を加える者がある。アッラーはその嘲笑をかれらに返される。かれらに対しては痛ましい懲罰があろう。
80.あなたがかれらのために御赦しを請おうとも、また請わなくても(かれらの罪は免れられない)。あなたが仮令70回、かれらのために御赦しを請うても、アッラーはかれらを赦されないであろう。これはかれらがアッラーとその使徒を信じないためである。アッラーは掟に背く者を御導きになられない。
81.(タブーク遠征にさいし)後方に留まった者は、アッラーの使徒の(出征した)後、残留していることを喜び、生命と財産を捧げて、アッラーの道のために奮闘努力することを嫌って、言った。「この炎暑の最中に出征するな。」言ってやるがいい。「地獄の火は、もっとも厳しい熱さなのだ。」かれらがもし悟るならば。
82.それでかれらを少し笑わせ、多く泣かせてやりなさい。これは、かれらが行ったことに対する応報である。
83.アッラーがあなたをもしかれらの一味に返されれば、かれらは(一緒に)出征する許可を、あなたに求めるであろう。その時かれらに言ってやるがいい。「あなたがたは決して、わたしと一緒に出征しないであろう。またわたしと一緒に敵と戦わないであろう。本当にあなたがたは、最初の時、(家に)残留していることに満足していた。だから残留する者と、一緒に座っていなさい。」
84.かれらの中の誰かが死んでも、あなたは決してかれのために、(葬儀の)礼拝を捧げてはならない。またその墓の側に立ってはならない。本当にかれらは、アッラーとその使徒を信じないまま主の掟に背く者として死んだのである。
85.またあなたは、かれらの財産や子女に、心を奪われてはならない。本当にアッラーは、これらのものによって、現世においてかれらを罰しようという思召であり、またかれらの魂が、不信心の中に離れ去ることを望まれる。
86.「アッラーを信じ、かれの使徒と共に奮闘せよ。」と1章〔スーラ〕が下された時、かれらの中能力ある者が、あなたに免除を求めて言う。「わたしたちを(家に)留まる者と一緒に、いさせて下さい。」
87.かれらは背後で(家に)留まる者と一緒にいることを好む。かれらの心は封じられた。だからかれらは悟らない。
88.しかし使徒とかれと共に信仰する者たちは、財産と生命とを捧げて奮闘努力する。かれらには(凡ての)善いことがあり、これらこそ成功する者である。
89.アッラーはかれらのために、川が下を永遠に流れる楽園を備えられ、かれらはその中に永遠に住むであろう。それは至上の幸福の成就である。
90.また(遊牧の)アラビア人の中からも、許しを求め(出征免除の)弁解に来た者があった。これらアッラーとその使徒を偽わる者は皆、(只家に)居残っていた。これら不信心の者は、やがて痛ましい懲罰を受けるであろう。
91.虚弱な者、病んでいる者、と(道のために)供出するもののない者は、アッラーとその使徒に対して忠誠である限り罪はない。善い行いをする者に対しては(非難される)筋はない。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
92.またあなたに(戦のための)乗り物を求めて来たとき、あなたが「わたしにはあなたがたに提供する乗り物がない。」と告げると、両目に涙をたたえて(馬などを購入する)資金のないことを悲しんで帰っていく人びと(も非難される筋はない)。
93.責められるべき筋は、富裕にも拘らずあなたに(出征の)免除を願い出る者たちだけである。かれらは背後に留まる者と、一緒にいるのを喜ぶ。アッラーはかれらの心を封じられた。従って(失うものを)知らないのである。
94.あなたがたが(居所)に帰るとかれらは許しを請うであろう。言ってやるがいい。「許しを請うてはならない。わたしたちは決してあなたがたを信じない。アッラーは、既にあなたがたの出来事を告げ知らせられた。またアッラーと使徒は、あなたがたの行いを見守るであろう。それからあなたがたは、幽玄界と現象界を知っておられる御方に帰される。その時かれは、あなたがたが行った(凡ての)ことを告げ知らせられる。」
95.あなたがた(信者)が(戦いから)帰ってきた時、あなたがたが(責めないで)放置するようアッラーにかけてかれらは誓うであろう。それでは放っておけ。かれらは本当に不浄であり、地獄がかれらの住まいである。かれらの(悪い)行いに対する報いである。
96.かれらはあなたがたに気に入られるようにあなたがたに誓うかもしれない。だがもしあなたがたがかれらを気に入っても、本当にアッラーは、アッラーの掟に背く者を御喜びになられない。
97.(遊牧の)アラビア人の不信心と偽善はもっと甚だしく、かれらはアッラーが使徒に下された掟に就いては、まったく無知である。だがアッラーは全知にして英明であられる。
98.(遊牧の)アラビア人の中には、(アッラーの道のため)かれらの施したものを、上納金のように思い、いっそあなたがた(ムスリム)に凶運が下るよう待ち望んでいる者がある。かれらの上にこそ凶運が見舞うであろう。アッラーは全聴にして全知であられる。
99.しかし(遊牧の)アラビア人の中のある者は、アッラーと最後の日を信じ、かれらの支出をアッラーに近付き、また使徒の祝福に預るための、捧げ物と考えている。聞け。本当にそれはかれらをアッラーに近付け、かれはやがてかれらを慈悲に浴させられる。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
100.(イスラームの)先達は、第1は(マッカからの)遷移者と、(遷移者を迎え助けたマディーナの)援助者と、善い行いをなし、かれらに従った者たちである。アッラーはかれらを愛でられ、かれらもまたかれに満悦する。かれは川が下を永遠に流れる楽園を、かれらのために備え、そこに永遠に住まわせられる。それは至上の幸福の成就である。
101.あなたがたの周囲の(遊牧の)アラビア人の中にも、またマディーナの市民の中にも、背信者がいる。かれらは偽善に執着している。あなたはかれらを知らない。だがわれは知っている。かれは2回にわたりかれらを懲罰し、その後かれらは、重い懲罰にかけられるであろう。
102.外のある者は、自分の誤ちを認めるが、善行と、外の不行跡が混っている。アッラーは、かれらの悔悟を許される。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
103.かれらの財産から施しを受け取らせるのは、あなたが、かれらをそれで清めて罪滅しをさせ、またかれらのために祈るためである。本当にあなたの祈りは、かれらへの安らぎである。アッラーは全聴にして全知であられる。
104.アッラーが、しもべたちの悔悟を赦し、また施しを受け入れられることをかれらは知らないのか。またアッラーこそは、度々悔悟を赦される御方、情け深い方であられることを(知らないのか)。
105.(かれらに)言ってやるがいい。「(善い事を)行え。アッラーはあなたがたの行いを御存知であられる。かれの使徒と信者たちもまた(見ている)。やがてあなたがたは、幽玄界と現象界を知っておられる方に帰される。その時かれは、あなたがたにその行ったことを告げ知らせる。」
106.その外に、アッラーが懲罰なされるのか、または悔悟を赦されるのか、かれの裁決を待たされる者がいる。本当にアッラーは全知にして英明であられる。
107.また(イスラームの)妨害と不信心(の助長)のために、一座のマスジドを建立した者があり、それで信者の間を分裂させ、また先にアッラーとその使徒に対して戦った者のための、隠れ家とする者がある。しかも(口先では)、「わたしたちは、只善いことを行うだけです。」と誓う。だがアッラーは、かれらが確かに偽っていることを立証される。
108.あなたがたは決してその中で(礼拝に)立ってはならない。最初の日から敬虔に礎えを定めて建立されたマスジドこそは、あなたがたがそこに立つに相応しい。その中には、自ら清浄であることを好む人びとがいる。アッラーは、その身を清める者を愛でられる。
109.アッラーを畏れ、かれの御喜びを求めてその家の礎えを定め建てる者と、砕け崩れそうな崖のふちにその家の礎えを定めて建て、地獄の火の中に共に砕け落ちる者と、どちらが優れているか。アッラーは不義を行う民を導かれない。
110.かれらの建てた建物は、かれらの心が細かく砕かれない限り、かれらの心中の疑惑不安の種となろう。アッラーは全知にして英明であられる。
111.本当にアッラーは、信者たちからその生命と財産を贖われた。かれらのため(の代償)は、楽園である。かれらはアッラーの道のために戦い、殺し、また殺される。それは律法と福音とクルアーンとを通じて、かれが結ばれる真実な約束である。誰がアッラー以上に、約束に忠実であろうか。だからあなたがたが結んだ契約を喜べ。それこそは至上の幸福の成就である。
112.悔悟して(アッラーに)返る者、仕える者、讃える者、斎戒する者、立礼する者、サジダする者、善を勧める者、悪を禁ずる者、そしてアッラーが定められた限界を守る者。これらの信者たちに、この吉報を伝えなさい。
113.多神教徒のために、御赦しを求めて祈ることは、仮令近親であっても、かれらが業火の住人であることが明らかになった後は、預言者にとり、また信仰する者にとり妥当ではない。
114.イブラーヒームが自分の父のために、御赦しを求めて祈ったのは、只かれ(父)と約束があったためである。それでかれ(父)がアッラーの敵であることが明白になった時、かれ(父)との関係を断った。本当にイブラーヒームは、柔和で辛抱強い人物であった。
115.アッラーは、人びとを導かれた後、かれらの守るべきことを解明されるまでは決して迷わせたりしない。本当にアッラーは凡てのことを知っておられる。
116.天と地の大権はアッラーに属する。かれは生を与え、また死を与える。アッラーの外に、あなたがたには守護者も援助者もないのである。
117.アッラーは、預言者と苦難の時にかれに従った遷移者たち〔ムハージルーン〕と援助者たち〔アンサール〕に哀れみをかけられた。その後かれらの一部の者の心は、(その義務の履行から)殆んど逸れてしまった。その時かれはかれらに、哀れみをかけられた。本当にかれは、かれら(ムスリム)に親切であり慈悲深くあられる。
118.後に残った3人に対しても(またかれは哀れみをかけられた)。大地はこのように広いのだがかれらには狭く感じられ、またその魂も自分を(内面から)狭めるようになった。そしてかれらは、アッラーに縋る外にはかれ(の懲罰)から免れるすべがないことを悟った。すると(主は)哀れみをかけられ、かれらは悔悟して(かれに)返った。本当にアッラーは度々赦される方、慈悲深い方であられる。
119.あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい。
120.マディーナの人びとも周辺の(遊牧の)アラビア人たちも、アッラーの使徒のあとに居残って、自分の身命をかれのものより大切にするなど間違っている。かれらがアッラーの道のために、渇き、疲れ、餓えに会う度に、また不信者を怒らせる行(攻賂)に出向く度に、敵に何らかの打撃を与える度に、かれらに対してもそのことが善行として記録されるのである。本当にアッラーは、正しい行いの者への報奨を無益にされない。
121.大なり小なり(道のため)費やしたもの、また一つの谷を越えたことが、必ずかれらのために記録されている。アッラーはかれらの行ったことに対して、最上(の報奨)をもって報われる。
122.信者は、全員が一斉に出動すべきではない。各団のうち一部が、出動し、そして残留者は宗教に就いて理解を深め、皆が帰った時かれらに警告を与える。恐らく出動した者は注意するであろう。
123.信仰する者よ、あなたがたに近い不信者と戦え。そして、あなたがたが意志堅固で力強いことを、かれらに知らせなさい。アッラーは主を畏れる者と共におられることを知れ。
124.(新たに)1章〔スーラ〕が下る度にかれらのある者は言う。「これによってあなたがたの中、誰が信心を深めるであろうか。」本当に信仰する者は、これによって信心を深め、喜ぶ。
125.しかし心に病の宿る者は、これによって汚れの上に汚れを加えて、不信者として死ぬ。
126.かれらは毎年、1度や2度試みられるのに気付かないのか。それでもかれらは悔悟せず、また改心しないのである。
127.かれらは1章〔スーラ〕が下る度に、互いに顧みて(目で言う)。「誰かが、あなたがたを見ているのか。」、やがてかれらは背き去る。かれらは悟らない民であるために、アッラーはその心を(真理から)背かせられたのである。
128.今、使徒があなたがたにあなたがたの間から、やって来た。かれは、あなたがたの悩みごとに心を痛め、あなたがたのため、とても心配している。信者に対し優しく、また情深い。
129.だからかれらが背き去っても言ってやるがいい。「わたしには、アッラーがいれば十分である。かれの外に神はない。わたしはかれを信頼する。かれこそは、(栄光に満ちた)至高の玉座の主であられる。」


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