サウム(断食)

イスラミックセンター編著



五、イスラームカレンダー


イスラームの宗教上の儀式は、すべて陰暦をもとにしており、太陽暦でないのは注目すべきことです。これには大きな意味があって、例えばラマダーンを例にとってみると、陰暦では一年が三百五十四日ですから、太陽暦よりも十一日(閏年では十二日)短いことになります。



したがってラマダーン月は、春、夏、秋、冬と全部の季節に順番にめぐってきます。



冬は日が短かくて、気候も寒いので断食はやりやすいのですが、夏は日が長い上に暑さのために断食は、他の季節にくらべて苦しいものとなります。



イスラーム教徒は、北半球、南半球のどちらに住んでいようとも、すべてのシーズンをとおして断食を行なうことになり、時には楽に、また時にはひどく苦しみながら断食をすることになります。



しかし、もし断食がある特定のシーズンに決めてあったとしたら、北半球の冬は南半球の夏にあたるので、あるグループのイスラーム教徒は永久に楽な断食をやり、一方他の半球のグループの教徒達は、いつも苦しい断食を強いられることになったでしょう。



さらに新月は、砂漠の遊牧民も都会の居住者も、等しく見ることができるということも太陰暦の利点でしょう。



それは、暦を読むことができる者にも、まったく文盲の人々にも見ることができ、日附を数える精密な知識も必要ないのです。



また新月を見ること、特にラマダーン月の新月とその翌月、すなわちイード(断食明けの祭典)の月を見ることは、それ自体心に不思議な感動を呼び起します。







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