イスラーム入門シリーズ
聖預言者ムハンマド



十、排斥



 クライシュ族は、ムスリムに数多くの脅迫、買収、拷問を試みましたが、それらはことごとく失敗に終りました。



 そこで彼等は、ムハンマド自身に対して行動をおこそうと思い、バヌー・ハーシム一族にムハンマドを引き渡すように要求しました。



 しかし、バヌー・ハーシム家の人達はムハンマドをクライシュ族に引き渡すのを拒否しました。その結果、バヌー・ハーシム家の人々は、シュアーブ・アブー・ターリブの庄として知られている場所に逃亡しなければならなくなり、そこで三年間生活したのです。



 このようにクライシュ族は、バヌー・ハーシム家の人々を完全に村八分にして、彼等との交渉をボイコットしてしまったのです。



 そのためバヌー・ハーシム家の人々は、時としては食べるものはなく、しばしば木の根や葉までも食べるほど困窮してしまいました。預言者や弟子達も空腹を満たすのに靴の革まで食べたほどです。



 さらに彼等は、食べる物だけではなく着る物もなく、まったくみすぼらしい物を身にまとって空腹に耐えていたのです。



 このようなみじめな生活の直後、ムハンマドの強力な支援者であった叔父と最愛の妻ハディージャが相ついで世を去りました。



 ムハンマドがこの二人の強力な支援者に死なれて、ただひとりとり残されたのを見たクライシュ族は、ムハンマドへの迫害をさらに強めてきました。






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