イスラーム入門シリーズ
聖預言者ムハンマド


五、預言者の布教前の社会状況



 ムハンマドは、その幼年期からすでにアラビアの腐敗した社会に強い苛立ちをおぼえていました。



 当時の人々はいつも飲酒と賭博にその時間を費していました。当時アラビア社会は千々に分裂しており、多くの家系や部族が自分達の利害のみを考え、。わずかな理由だけで闘争をくり返していました。



 ムハンマドは、人々はすべて一つの家族のようにお互いに兄弟同志として交際すべきであると考えていたので、当時のこのような部族間の抗争については非常に心を痛めていました。



 西暦七世紀頃の世界の常として、アラビア人達も婦人を尊敬せず、また自分達の娘を愛することを知りませんでした。。女の子の誕生はあまり喜ばれなかったので、時としては生まれると同時に生き埋めにされ間引きされることもありました。



 預言者アブラハムが最初に建立したアッラーへの礼拝の聖地であるカァバ神殿にさえ、三六〇体もの偶像が入り込んでいたのです。これは例えてみれば、一年のうち一日につき一体の割り合いで偶像があったことになり、聖地がこのように乱用されているのを見てムハンマドは、非常に心を痛めていました。当時は、人間の歴史を通して最も暗黒の時代であり、キリスト教やユダヤ教でさえもその影響力を失い、人々の心はまったくすさみきっていました。



 ムハンマドはこのような状況をひどく悲しみ、何とかこれを改善したいものだと願っていました。







ホームページへ戻る