第4章信仰箇条
2、神の天使達を信ずること

 予言者ムハンマド(彼の上に平安あれ)は進んで、神の天使達を信ずるように我々に教えた。このことはイスラームの第二の信仰箇条であって、タウヒードの概念を考えられる穢れから免れしめ、それを純枠に、簡潔に、考えられるあらゆるシルク(多神教)の影響の危険をなくさせるから、非常に大切である。
 多神教論者は二種類の被造物を神になぞらえてきた。
 (イ) 有形の存在を持ち、人間の目に見えるもの。例えば、太陽、月、星、人、水、動物、偉大な人物など。
 (ロ) 有形の存在を持たず、人間の目に見えないもの−−宇宙の働きに従事していると信じられている不可知な存在。例えぱ、あるものは人を司る神、あるものは光を与る神、またあるものは雨をもたらす神など。
 (イ)で主張されている神々は有形的な存在を持ち、人間の目の前にある。それらの神々が虚偽であることは、カリマ−ライラーハ、イッラッラーハ(アッラーのほかに神なし)により己に完全に暴露された。
 (ロ)の類は非物質的であり、人間の眼から隠され、神秘的である。多神教論者はそれらを信仰する傾向が多分にある。彼等はそれらを神性をもつ、即ち、神々双ぴ神々の子と考えている。彼等はそれらの像を作り、それらにささげものをする。神の唯一性の信仰を純ならしたるために、またその信仰を(ロ)の目に見得ない被造物との混同から明らかにするために、この信仰箇条が説かれて来たのである。ムハンマド(彼の上に平安あれ)はそれらの感知できない、人々が神性を持つもの(あるいは神々または神々の子)と信じている霊的存在は、実は神の天使達であると我々に教えている。それらは神の神牲とは関係がない。
 天使達は神の命令の下にあり、神の命令に絶対に背くことができないほど、神に従順している。神は天使達を神の国を支配するために届け給い、天使達は神の命令を正確に忠実に実行する。天使達は自らは何事をなす権能も持たない。彼等は自ら考えた計画を神の御前に提出することはできない。彼等はいかなる人間のためにも、神に取なすことさえ許されない。天使達を礼拝し彼等の助けを求めることは人間にとって、恥ずべきことであり、卑しいことである。何故ならば、人間を創り給うた最初の日に、神は天使達をアダムの前に平伏させ給い、アダムに彼等よりも偉大な叡知を授け給うたし、また神は彼等をとばして、アダムに地上における神の代理権を授け給うたからてある。(註)それ故、かつて人間の前に平伏したものの前に平伏し、それらの愛顧を求めるほど、人間にとって墜落はまたとあるだろうか。

 註−クルアーン Surah 2:34 Surah 7:2を参照されたい。

 ムハンマド(彼の上に平安あれ)は天使達を礼拝することと、彼等を神聖なる神と混同することを我々に禁じた。しかしそれと共に、彼等は神の選ぱれたる被造物であり、罪に陥ることはなく、彼等の性質自体が神に背くことができないものであり、常に神の命令を実行することに専心しているとムハンマドは我々に教えた。更に、これらの神の天使達は四方八方からあなたがたを包囲し、付きまとって、常にあなたかたと一緒にいると彼は我々に教えた。天使達は、良いことであれ悪いことであれ、あなたがたのあらゆる行動を注目し、観察している。彼等はあらゆる人間の生涯の完全なる記録をつける。死んでから、あなたがたが神の御前につれて行かれた時、彼等はあなたがたの地上における一生の完全な記録を提出するであろう。あなたがたはその記録の中に、どんなに取るにたらぬことだろうが、一つも洩れなくあらゆることが正しく記録されているのを発見するであろう。天使達の本質的な性格は我々には知らされていない。彼等の価値と本性はいくらか我々に知らされており、我々は彼等の存在を信ずるように求められている。我々は彼等の性格、属性、本質を知る方法を持たない。それ故、勝手にある形や性格を彼等のすべてにあたえ、彼等を本当に知らないくせに、天使はかくかくしかじかのものであると言うことは全く愚劣である。天使達の存在を否定することはクフルである。何故ならぱ、我々はその否定の理由を持たないし、我々が天使達を否定するならぱ、ムハンマド(彼の上に平安あれ)が虚偽をなしているというのに等しくなるからてある。我々は、神の真の御使いが我々に教えているというだけで、天使達の存在を信ずるのである。


 

 

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