第3章予言
E、革命来たる

このように清潔に、純粋に彼の人生の大半を過した後に彼の内部に革命が起った。彼は彼の囲りにはびこる暗黒と無知に飽き飽きしてきた。彼を四方八方から取囲んでいる無知と頽廃と不道徳と偶像と無秩序のいまわしい海を見事に泳ぎ渡りたいと願った。彼は周囲のすべてのことが彼の魂と調和しないことに気がついた。彼は人家の雑踏と騒音を離れて山に隠遁した。彼は全くの隠遁と瞑想に夜も昼も過した。彼は魂と心がますます純枠に高貴になるまで断食した。
 彼は深く黙想し沈思した。彼は取囲んでいる暗黒を消し去らせる光を求めていた。彼は当時の頽廃し切った無秩序の世界に終焉をもたらし、新しくより良い世界の基礎を築くカを得たいと願っていた。
 見よ!驚くべき革命が彼を襲った。突然、彼の心に神の光で輝き彼が念願していたカを与えられた。彼は洞窟の隠遁生活から出て人々の所に行き次のように彼等に説いた。「あなたがたが礼拝している偶像はごまかしにすぎない。
 只今よりそんなものを礼拝することをやめなさい。どんな人間も樹木も星も石も妖精も人間の礼拝すぺきのものではない。だから、それらの前に頭をさげて礼拝することをやめなさい。全宇宙の中に在るすべての物は全知全能の神だけのものである。神だけが万物の創造者、養育者、支持者であり、あらゆる人々が御前にひざまづき、祈りをし従わねぱならない真の主人である。だから神のみを礼拝し、神の命令のみに従いなさい。略奪と分捕り、殺人と強盗、不正と残虐−−あなたがたがなしているこれらのすぺての悪徳は神の眼から見れば罪である。あなたがたは此の悪い道を避けなさい。神はそれらすべてを憎んでおられる。真実を話しなさい。正義でありなさい。何人も殺してはいけない。何人からも盗んではいけない。分け前は公平に取りなさい。公平に判断して正当と思われる分を他人に与えなさい。あなたがたは人間である。そしてあらゆる人問は神の眼から見れば平等である。誰も顔に恥かしい汚名をつけて生れたのではないし、誰も胸の囲りに名誉の勲章をぶら下げて世に出て来たのではない。神を恐れ敬虔で、言葉と行為が真実である人間だけが高貴で名誉ある者である。自分の生れの良さや民族の栄えていることは偉大と名誉の尺度ではない。神を恐れ良い行いをする者が最も高貴な人間である。神の愛を失い不正不義にふけっている者は呪われた人間である。あなたがたが死んでから神の前に現れなければならない日が来る。あなたがたはあなたがたの行為−−善か悪が−−の責任を弁明せねばならないだろう。そしてその時は、あなたがたは隠すことは一切できないのである。あなたがの全生涯の全記録は神の前に開げられてある。おなたがたの運命はあなたがた自身の良き行為か悪き行為かによって決定される。真実の審判官ー−全知全能の神‐‐の法廷では不公平やえこひいきの問題は起らない。あなたがたの素性や家柄は全く考慮されないのである。真の信仰と良き行為のみその時にあなたがたの役に立つであろう!信仰と善行を十分持っている者は永遠の幸福の天国に生きるがそれらを持たない者は地獄の火の中に投げ入れられるのである。
 以上が彼がたずさえて来た伝言(メッセージ)であった。無知な人々は彼に昔を向けた。尊い彼の身体に悪口と小石が雨のように襲った。考えられるかざりのあらゆる責苦と残酷が彼に向けられた。ぞしてこの苦難は一両日だけではなく十三年間も絶えず続いたのであった。そしてとうとう彼は追放された。しかしそこでも彼は体息を与えれれなかった。被は追放された所でさまざまな方法で昔しめられた。アラピアの全土は彼に反抗するように煽動された。彼はそこでまる八年間も絶えず追害され統けた。彼はあらゆる追害を蒙ったが、彼は自分の立場から一歩も動こうとしなかった。彼は目的と主義において決意が固く毅然とし不動であった

 

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