イスラームの生き方

イスラミックセンター編著


二、イスラームの道徳の基盤=信仰



イスラームには、信仰(イマン)と善行に基いた人生の歩み方が示されています。



時間によって、


まことに人間は喪失の中にいる


信仰を持ち善い行いにいそしみ


真理のためまたは忍耐のため


互いにはげまし合う者たちの他は。


(聖クルアーン 第一〇三章一ー三節)



信仰とは、アッラーの実在と預言者ムハンマドの真実を信ずることだけではありません。信念を実行に移し、アッラーへの、あるいは人々に対する義務を遂行することが重要なのです。むろん、創造主と支配者であられるアッラーへの義務が他のすべてに優先すべきことはいうまでもありません。



言え、「なんじらの父・子・兄弟なんじらの妻と近親者


なんじらが取得した財産、停滞を恐れるなんじらの商業


そしてなんじらの好む住居


もしこれがアッラーとみ使い、ならびにその道のために奮闘するより


好ましいのなら、


アッラーの判決が下るのを待つがよい」


アッラーは反逆の民を導きたまわぬ。


(聖クルアーン 第九章二四節)



アッラーへの信仰と信頼は、信者の意志と言行によって表現されます。信仰を言明し、感謝と謙遜と愛を持ってアッラーを思い、意図を清浄なものとし、そしてアッラーの命令とみ使いのスンナを実践し、他人に教えることなのです。



アッラーとみ使いに従え


もしなんじらが信者であるなら。


(聖クルアーン 第八章一及び二〇節)



アッラーへの帰依とは、個人的な徳を積むことに限定されるわけではなく、個人的、社会的、経済的、国際的など、あらゆる面にわたって拡大されるものなのです。



個々の信者は、そして全イスラーム社会は、この世にアッラーの道徳律を樹ち立てるための努力を義務として負わされているのです。聖クルアーンによると、現世は試練の場にすぎず、死後の生命こそ人間の終着点なのです。



富と子女この世の装飾である


だが永遠に残るもの、すなわち善行こそは


主の前でより良く


報奨と希望の基礎としてすぐれたものである。


(聖クルアーン 第一八章四六節)



このように、現世での行為の総決済のため正義と慈愛の根源アッラーへ戻ることをムスリム(イスラーム教徒)は信じています。そして現世での生活は、次の永遠なる生命への導入部分として重要なのです。鳥が陽光や他の条件を独自の時空感覚に照らして帰巣の方角を判断するように、現世での人間も根源を意識し、方象に照らして確認し、アッラーを求め、アッラーに支え、その道に合致した善行を行なうのでなければ、帰り着くところはとんでもない場所になってしますでしょう。根源からの呼びかけに耳を傾けてください。



おお平安なる魂よ


歓迎を受け喜びをもって


なんじの主のもとにかえれ、


われの支える者の仲間となり


わが楽園に入れ。


(聖クルアーン 第八九章二七ー三〇節)



一方、来世を信ぜず、現世に没頭するあまり未来のことを考えぬ者は、現世での成功と喜びを最終目的としているんのです。



まことにわれとの会見を来たいせず


現世に満足し(来世が存在せぬように)


これに安じている者


ならびにわがしるしを


意にとめぬ者の住居は


当然、地獄の却火にある。


(聖クルアーン 第一〇章七ー八節)



信者の特質の一つは、謙遜と感謝の心です。アッラーによって創造された人間は、その生存から生活にいたるまで、あらゆる面でアッラーの無限の慈悲を受けています。そのような広大なお恵みに対して感謝の目を向けるのは人間として当然の義務でありましょう。その気持が、アッラーをたたえる言葉及び礼拝に発現されるのは当然のことでありますが、そこにとどまることなく、アッラーからの賜わりものーー富、知識、才能、成果などーーを他人と分かち合うことが重要なのです。



これとは正反対の態度ーーアッラーの恩恵に対する忘却、自己憧着、学識、富、地位、家系、人種、民族への過度の誇りなどは現世での人間の立場とアッラーの絶対的な力と慈悲に対する理解の欠如であり、言うならば信仰なさを示しているのです。



信仰を持ち善ち行いにいそしむ者には


当然の報奨を与え恩典を増したもう、


だが尊大で高慢なものには、痛烈な罰を下したもう


その者たちはアッラー以外には


保護も援助も見つけることはない。


(聖クルアーン 第四章一七三節)



人間に慈愛を与え、その後取り上げたら


必ず絶望し、神を呪う。


だが困難の後、恵みを与えると


不幸は去ったといい、うぬぼれ、高慢になる。


忍耐し善を行う者はちがう


彼らには赦しと偉大な報奨がある。


(聖クルアーン 第十一章九ー十一節)







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