五、ハディースの分類 |
ハディースは普通次の三つのグループに分けられている。 (1)サヒーハ(確度優秀) (2)ハサン(確度良好) (3)ダイーフ(疑わしい)又はサキーム(不確実) ボハリーとムスリムの編纂したハディースはすべて、サヒーハであるとされている。又ボハリーとムスリムが集めたものでなくても、この二人の伝承学者の一方か、又は双方が定めた条件を満したものもサヒーハとされる。ハサンとされるハディースは、その出典の根拠がよく知られており、伝達者(イスナード)が信頼できる人として人びとに知られており、また伝達された話をほとんどの学者が認め、法学者・裁判官そして法律家が使用したものである。ハディース・ハサンは、法律学のイスラーム方式での法的決定の有効な根拠として認められているものであり、一方ダイーフのハディースはそうではない。しかし、ダイーフと呼ばれるハディースのすべてが拒否されるわけでもない。ダイーフの中でも、人びとに善行をなすようにすすめたものとか、ある事件の附随事件について語っているものは採用される場合もあり得る。アブー・ダーウードは、自分が扱った何かの事を明示するのに、他に何も資料がないとさは、しばしばダイーフを使用している。 ダイーフにはいろいろの等級があり、その中には必要に応じて使えるものとか、伝承者が中間で不明になっているものとか、あるいは不正に報告されたり、又は全くの作り話であったりするものがある。 これ以外に数多くの伝承を表わすのに使う特別の名称もある。すなわち、ガーリブ(ハディースの中ではほとんど使われていない言葉を使ってあるもの)、マウクーフ(伝承者−イスナード−が教友の一人のところで止って、それ以上預言者の実際の言行まで達していないもの)などである。 |