宗教法人イスラミックセンター・ジャパン編

聖クルアーンとハディース
(コーランとハディース)

六、クルアーンの意義
  クルアーンの基本的目的は、宇宙と人間世界における神の支配力への認識を、人々の心に呼ぴ起こすことである。過去に存在したもの、現在あるもの、又は将来神が存在させるすべてのものは、神アッラーの支配から逃れることはできない。人間はこの広大な宇宙の中で、神の信託者にすぎないのであって、人間がこの世に創造された目的は、神を崇拝するためである。
 神を崇拝することは、信仰の行をするために、日常生活の活動を止めることではない。我々の行為は、もし神の下された則に従って良い意志をもってなされたものであれば、それはすべて神の崇拝である。人間それぞれの究極の責任は、神へのものであって、人はすベて神の恵み、すなわち、生命そのもの、能力、才能、知識、時間、資産及ぴ与えられたすぺてのものを、いかように使ったかを問われよう。現世での命にはかぎりがあるが、この生命は来世での無限の生命が作られる基盤なのである。このように現世での生命は極めて重要なものであり、決してそれを無駄に費してはならない。
 そこでクルアーンは人生の全分野にわたる基本原理を述べ、人間ば神から期待されている生き方を教えられている。クルアーンに盛り込まれているこれらの基本原理は、個人的人生についてだけでなく、人間と人間、集団と集団との関係をすべて網羅している。現世でのすぐれた生き方は、来世での成功への必要条件である。それゆえクルアーンは、真実のための真撃な観察、思索、調査及び追求、他人への奉仕、すべてに対する正義の追求、地球上のすべての人びとの平和を目的としたすぐれた行為と行動のために専念することを人ぴとに求めている。クルアーンは、人間は地上で神の代権者であり、人はその事実に基づいて行動しなくてはならないと言う。クルアーンは他人への隷属状態から自らを解放し、欲望を制御し、出生、財産、社会的地位や出身地などの虚栄にとらわれず、現世での神の代権者(カリフ)にふさわしい真の威厳と知恵を身につけるよう説いている。この最終目的を達成するためには、神の真実性への意識が心の奥底に深く刻み込まれなくてはならない。神へ対して神への特別の畏敬の念を表明する行為、すなわち礼拝(サラート)、斎戒(サウム)、巡礼(ハッジ)及び喜捨(ザカート)を命じている。−−そしてこれらの務めは、我々人間の所有するすべてのものが神のためのものであり、又我々は神に帰依すべきものであることを、我々の心に呼び起こすためのものである。


ホームページへ戻る